「ただいま」の小さな声が聞こえたのは、日付が変わった深夜0時すぎ。
玄関のスイッチボット(鍵)が回る音。
中学生の息子が、ついに一線を越えた。非行へのスタートの日だと直感しました。
シングルファーザーとして、仕事と家事に追われながら必死に育ててきた自負が、「やっぱりシングルはダメか」と音を立てて崩れ落ちるような感覚でした。
不安とイラだちで今までだったら息子を怒鳴りつけて厳しいお説教をしていたでしょう。
しかし今の私には、アドラー心理学に基づいた「叱らない・罰を与えない」考えがある。
反抗期の息子の心を開き「わかってもらうにはどうしたらいいか。」
考え抜いて生まれた私の考えと息子に言ったことを紹介します。
反抗期の息子を持つパパ・ママの参考になる記事にしています。
【この記事でわかること】
- 昨夜、息子が12時に帰ってきた理由と現場の状況
- なぜ「懲罰教育」が中学生男子には逆効果なのか
- 信頼関係を取り戻すためにパパが伝えた「アイ・メッセージ」
1. 【事実】息子が夜12時の帰宅。連絡が取れない数時間と「ただいま」の声
「クラス会に行ってくる」 息子がそう言って自転車で出かけたのは、まだ明るい時間帯。
クラスの友達数人と焼肉屋へ行くとのこと。「21時までには帰りなさい」と伝え、息子を送り出しました。
しかし、約束の21時を過ぎてもかえって来ない。
21時30分、22時……。電話をしても出ず、LINEも既読にならない。
深夜22時を過ぎて、ようやく届いたLINEには「ボーリングやってる」の一文だけ。
23時を過ぎても帰宅せず、スマホの位置情報アプリ(GPS)を確認すると、まだボーリング場にいることを示していました。
日付が変わった24時過ぎ。 静まり返ったリビングに、スマートロック「SwitchBot」がウィーンと回る音が響きました。
「……ただいま‥‥」
聞こえてきたのは、分が悪そうな、小さな声。 焼肉の後、友達4人でボーリングを3ゲームしていたとのこと。
反抗期の息子に怒鳴ったり、怒ったりしたら逆効果。
握りしめたこぶしと怒りの言葉を、グッと押さこみました。
「もう遅いから、明日に話そう」そう伝えて、やり場のない感情を抱えて布団にりました。
2. アドラー心理学の視点:なぜ「叱ること」や「懲罰教育」は逆効果なのか
一晩明け、僕の頭にあったのは、アドラー心理学の「叱らない・褒めない」という考え方です。
もし、昨夜の勢いで怒鳴りつけ「一ヶ月外出禁止!」「お小遣いなし」と罰(懲罰)を与えていたらどうなってしまうか。
中学生の反抗期の息子にとって、力による支配は反発心しか生みません。
- 「隠れてやればいい」と嘘をつくようになる
- 「どうせパパは分かってくれない」と心を閉ざす
- 親への復讐心から、さらに過激な行動に走る
アドラー心理学では、不適切な行動(今回の場合は無断の深夜帰宅)をした子供に対し、罰を与えるのではなく「その行動の結果を体験させる」こと、そして「対等な対話」を重視します。
恐怖で従わせても、それは教育ではなく「支配」になってしまうからです。
子供の自律を「勇気づけ」で支援するアプローチがアドラーの考えです。
3. 【本音の対話】Iメッセージで伝えた「父親としての正直な気持ち」
翌日、頭を冷やした私は改めて息子と向き合いました。
ここでは、自分を主語にして気持ちを伝える「アイ(I)メッセージ」を伝えました。

昨日のことだけど、パパの話を聞いてくれるかな。
21時を過ぎても連絡がなくて、GPSを見たらまだ外にいる。
事故に遭ったんじゃないか、誰かに絡まれてるんじゃないかって、パパは心配した。
お前が元気に帰ってきてくれて本当に安心したけど、連絡がないまま夜中を過ぎるのは、
パパはすごく悲しいし、怖いと感じる。
「お前はダメだ(Youメッセージ)」と責めるのではなく、「パパはこう感じた」という事実だけを伝えました。
すると、息子は、

……ごめん。門限を過ぎてたけど、ボーリングがやりたくて、つい流されちゃった。
と、自分から謝ってきたのです。
怒鳴り散らして力で屈服させるのではなく、一人の人間として「信頼」をベースに話した結果伝わった気がします。
4. 【対応策】「非行のスタート」を自覚させる。「ついていい嘘」もある。
息子に反省の様子が見えたので、更に2つの事を伝えました。
① 「ついていい嘘」で誘惑を回避する。断る勇気
『友達付き合いを大切にしたいから断りづらい、その気持ちはわかる。』
『パパもいまだにその葛藤で悩むことはある。』(共感)
だからこそ、「断る勇気を持つ。」「断るための武器(理由)」を準備しろ!と伝えました。
例えば
- 「パパが怖いから、今帰らないともう遊べなくなっちゃう」
- 「明日は部活の試合で朝が早いから寝ないと」
- 「母親がいない妹を一人にするのはかわいそうだから」
「友達の同情を買うくらい真剣に説明して、上手く断ればいい。これは誰も傷つけない『ついていい嘘』だ」と教えました。
② 「その行動がどこに繋がるか」のロードマップ
息子にとって門限破りは「ただ怒られるだけのこと」かもしれません。しかし、夜の街にはリスクが潜んでいます。
- 門限を破る ⇒ 夜のボーリング ⇒ 悪い誘い ⇒ タバコ・酒⇒ドラッグ ⇒ 人生が詰む
- 門限を破る ⇒ ヤンキーに絡まれる ⇒ 怪我・カツアゲ ⇒ 窃盗・犯罪 ⇒ 人生が詰む
「夜の街に足を踏み入れた瞬間に、このスタートを切っちゃうんだよ。
だから戻って来い。今ならいつでも戻れるから」
「ボーリングを昼間に行けば立派なスポーツ。夜に行った瞬間にこのスタートを切っちゃう。」
息子は自分の軽率な行動が、最悪の結果に繋がっていることを知り、ハッとした様子でした。
5. 一人で抱え込まない。シングルファーザーが「非行の不安」と向き合うヒント
「非行に走るかも」という予感は、親にとって最大の恐怖です。
特にシングルファーザー家庭では、相談相手がおらず自責の念に駆られがちです。
私たちができることは、家を「居心地の悪い場所」にしないことです。
母親がいないハンデはありますが、アドラー心理学を信じて、次のことを意識してみてください。
- 感情が爆発しそうな時は、一度その場を離れる
- 「正しい親」より「信頼される親」を目指す
- 行動を否定せず、共感の姿勢。その結果をイメージさせる
こうした積み重ねが、子供を非行から守る防波堤になる事だと私は信じています。
まとめ
夜12時のSwitchBotの音を聞いたあの瞬間の絶望感は、今でも忘れられません。
しかし、感情に任せて怒鳴るのではなく、アドラー心理学という「地図」を持って息子と向き合ったことで、私たちは新しい信頼関係のステージに立てた気がします。
今回の記事のポイントをまとめます。
- 感情を爆発させない:深夜の帰宅時は「明日に話そう」と伝え、一晩置くことで冷静な対話ができる。
- 「アイ・メッセージ」で伝える:相手を責めるのではなく、自分自身の「心配」「悲しみ」という本音を伝える。
- 罰ではなく「結果」を教える:行動を力で制限するのではなく、その行動がどのようなリスク(非行の入り口)に繋がるかを説く。
- 「断る技術」を授ける:友達付き合いを壊さずに帰るための「ついていい嘘」を教え、息子に武器を持たせる。
子育ては「支配」ではなく、子供の自律を「勇気づけ」で支援するアプローチとアドラーは言います。
これからもトラブルは尽きないと思います。
そのたびに「叱る」という安易な道具を使わず、アドラーの教えを思いだし、一人の人間として対話を重ねていこうと思います。
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まずは、息子が無事に帰ってきて、今日も元気に部活に行ったのでホッとしています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
子育てにアドラー心理学を取り入れた方法はこちらです。




